第13回 貧血


 貧血とは
 血液中の赤みが不足した状態です。赤みの色素を『ヘモグロビン』といいます。

 いわゆる貧血(脳貧血)との違い
 低血圧や体調不良の時、頭がフラフラしたり失神したりすることを一般によく貧血と言います。でもこれは医学用語としては正しくありません。医者が貧血と言うときは、始めに書いたように血液中の血が薄い場合だけを呼びます。

 貧血の症状
 軽いときは自分ではどうも無いこともあります。ひどくなると胸がドキドキしたり、頭がフラフラしたり失神したり、いわゆる貧血の症状が出ます。しかしゆっくりと貧血になった場合は体が慣れてしまって自分では気が付かない事もあります。
 これらは血液中のヘモグロビンが不足するためその最も重要な働きである『酸素をからだ全体に運ぶ』という機能がうまく行かなくて起こる症状です。

 貧血の診断
 診察では皮膚や粘膜(特に結膜)の色が青白い事が特徴です。検査では血液中の色素(ヘモグロビン)の量が少なくなっている事で診断します。ヘモグロビンの正常値は男で約13〜17、女で約11〜15です。

 鉄欠乏性貧血
 大部分の貧血はヘモグロビンの材料(鉄です)の不足でおこります。それでこれを鉄欠乏性貧血と呼びます。その他に骨髄の病気やアレルギー等で貧血が起こることもありますが、そういうことはかなりめずらしい、そしてそういう時はかならず血液病の専門医に診てもらわないといけません。
 ですから貧血が見つかった時はまず鉄分の量を測定して鉄欠乏性貧血かその他の貧血かを調べます。

 鉄欠乏性貧血の原因
 鉄分が足らないとき、その元になっている病気がある場合があります。その3大原因は(1)胃・十二指腸に病気がある(具体的には潰瘍、ガンなど)。(2)大腸がわるい(具体的にはポリープ、痔など)、(3)月経過多(その原因は筋腫その他)です。そこからジワジワ出血するために貧血がおこります。
 こういう場合は貧血の治療だけしてもいつまでも治りません。元を断たないとダメです。またガンなどの場合はうっかりすると手遅れになる危険もあります。それで貧血では必要に応じて原因の調査をします。

 鉄欠乏性貧血の治療
 足らない鉄分を補います。と同時に元になっている病気が見つかった時はその治療をします。
 鉄分の補い方はまず食事治療。鉄分を多く含んだ食物としてレバー、ひじき等があげられます。しかし好き嫌いをせずに何でもしっかり食べる事の方がもっと大切です。
 ある程度以上の貧血には薬(鉄剤)を使います。原則として飲み薬です。でも飲み薬は胃にこたえる人が時々います。そういう人は注射で投与します。
 鉄剤を使うときは1カ月に1回ぐらい血液検査をしながら(順調に治っているかのチェック)、ちょうどよいヘモグロビン値になるまで治療を続けます。一旦回復したあとも、しばらくは念のため何ヶ月かに1回くらい血液検査をします。そして安定していると確認できてそれで一連の診療が終了します。