第17回 コレステロールの重症度
血液検査で異常値が出た場合、もちろん良い気持ちはしません。しかし異常値といっても全く心配のいらない場合から、早急に処置しないと取り返しのつかないことになる場合まで様々です。異常値が出た場合その程度を知ることは有意義です。
1.コレステロールの重症度
コレステロールとは血液中の油の一種です。血液中のコレステロールの濃さは血液1デシリッターあたりのコレステロールのミリグラム数で表現します。ですから○○mg/dlと表現します。
コレステロールは細胞膜やホルモンの材料になる物質です。人体にはたいへん重要で不可欠な成分です。しかし血液中のコレステロールが濃すぎるとこれが血管にたまって内側が詰まったり、傷んだりし易くなります(動脈硬化と云います)。
コレステロールの正常値は219mg/dl以下です。そして表に示しましたように259までは軽症、299までは中等症、300以上は重症と分類されています。
脂肪の種類 | 正常 | 軽症 | 中等症 | 重症 |
総コレステロール | 〜219 | 220〜259 | 260〜299 | 300〜 |
LDL(悪玉) | 〜139 | 140〜179 | 180〜219 | 220〜 |
中性脂肪 | 〜149 | 150〜299 | 300〜749 | 750〜 |
2.LDLコレステロール(悪玉)が問題
さてコレステロールには俗に善玉と言われるHDLコレステロール(以下HDL)と悪玉と言われるLDLコレステロール(以下LDL)とがあります。
LDLは血管にどんどんたまるコレステロールで、逆にHDLは血管にたまったコレステロールが元に戻る途中の形だと考えられています。ですからもし総コレステロール値が高くてLDLも増加している場合は本当に注意しなくてはならないし、逆に総コレステロール値が高くてもその内容がHDLによっている場合は何も心配は要らない、むしろ良い事と考えて構わないのです。
ですからLDLの値が重要なのです。ところがLDLは直接には測定できません。
実際の臨床ではまず総コレステロールを測定して次にHDLと中性脂肪を測定して、
LDL=総コレステロール−HDL−(中性脂肪÷5)
という式で計算します。
表に示しましたように、LDLは139まで正常、179まで軽症、219まで中等症、220以上は重症と分類されます。
3.あなたの検査値はどうか
まず総コレステロールを見て下さい。219以下なら正常です。この問題はもう考えなくて構いません。もし220以上なら次にHDLや中性脂肪の値からLDLを計算して下さい。そして重症度分類してみて下さい。
健診などで総コレステロールしか測定していない場合は総コレステロールが正常ならそれでよし、異常値なら次の機会にはHDLも測定してLDLはいくらかを調べてください。
4.重症度に応じた治療法(次号で詳しく書きます)
@軽症の場合:食事治療と運動治療。半年後に再検査
A中等症の場合:他に動脈硬化の原因が無いかをチェック。
生活治療と定期的な検査。
B重症の場合:とりあえず投薬を開始。生活治療は平行する。
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