第19回 24時間血圧計の話


 24時間血圧計とは、聞き慣れない言葉ですね。似た言葉で24時間心電図というのは比較的よく知られた検査ですが、それとは違って血圧を測る検査です。

 まず血圧について基本的なことを説明します。心臓は一刻も休むことなく拍動しています。心臓がぎゅっと収縮して血液が送り出されるとき、動脈で計る圧力が 収縮期血圧(最高血圧)、そのあと心臓が広がって中に血液がたまってくる時の圧力が拡張期血圧(最低血圧)です。収縮期が160以上または拡張期が90以上を高血圧と言います。
 血圧は皆さんご存じの様に緊張したり、興奮したりすると上がるし、リラックスしているときや、眠っているときは下がります。そして病院で血圧を測る時は一般 に緊張している場合が多く、必ずしもその人の普段の血圧を反映していない場合があります。むしろ緊張した時の値を表していると言っても良いでしょう。
 また高血圧の患者さんでも一般に夜間眠っている間の血圧は随分と下がっている事が多いのですが、もし夜間でも血圧が下がらない人はそのために内臓障害が進行 しやすいと言われています。
 このため最近では患者さんに家庭用血圧計で自己測定してもらいその記録を参考にしたり、ここに紹介する24時間血圧計で測定して治療方針を決めることか多い のです。筆者も、この4年間24時間血圧計で測定してから方針決定して来ました。 この様にしてみると診察室での観測と違った所見もよく見つかり診療上たいへん有用です。

 24時間血圧計は、家庭用血圧計に似ているがもっと小型で本体はズボンのベルトや肩に掛けることが出来ます。 日中は30分毎、夜間は1時間毎に機械が自動的に働いて血圧を測定記録します。 血圧計の布(マンシェット)を腕に巻き付けたままですから、多少うっとおしいですが、痛いことや苦しいことはありません。

(24時間血圧測定をご希望の方へ)前日までに電話予約、願います(充電のため)。
開始時と終了時の2日受診。検査料金は無料、診察料金のみいただきます。



右に例として載せているのは筆者の血圧のデータです。ちょっとじっくり見てみませんか。

 (1)全体として、血圧は低く低血圧の所見です。

 (2)血圧計を装着したばかりの血圧は高いです。
そして約20分後にスーッと正常になっています。

 (3)18時と7時30分に血圧が上がっています。
18時は看護学校の講義に行く途中遅刻しそうになっている とき、7時30分は朝の出勤前で慌ただしいときです。

 (4)22時から6時までは就寝時間です。
日中に比べて血圧がますます下がっています。


 以上から、筆者は全体として低血圧であるが夜間眠っている間はさらに血圧が低い。
もともと低血圧で、 その上この機械の事をよく知っている医者でも、実際に検査を受けると始めは緊張のためか血圧が上がる、 また慌ただしいときにも血圧が上がるということが分かります。


 高血圧の患者さんで検査してみると、病院を出たとたんに血圧が正常になる人、仕事中ずっと血圧の高い人、 緊張するとすぐ血圧の上がる人、夜中もずっと血圧の高い人、さまざまです。その人の血圧のパターンで、場合 によってはそれなりに厳しい処置が必要です。でももし血圧が高いのは病院にいる間だけ、と分かったらもう心 配不要です。
 その人に応じた治療法を決めるために、ぜひ一度この検査で自分の血圧の日内変動を測定してみる事をお勧めします。
時刻収縮期拡張期
14:37141105
14:51112100
15:0011168
15:3014161
16:0011674
16:3014167
17:0013771
17:3012869
18:0014596
18:3013381
19:3012977
20:0011777
20:3011681
21:0012073
21:3010962
22:009755
23:009763
0:008655
2:009566
4:0012460
6:009053
7:0012167
7:3018569
8:0011674
8:3011478
9:0011974
10:0012464
11:0011178
12:0010768
12:3010771
13:0011984
13:3011574
14:0010759
14:3011978
平均
14〜2112876
21〜 710059
7〜1511671
全日11569