第27回 運動療法の実際


 高血圧や糖尿病、高脂血症では運動治療が有用です。
 この事は今までにも『けんこうニュース』に書いて来ました。
 今回、もう少し詳しくお話しします。この方法は福岡大学方式(ニコニコペース運動)
といって、福岡大学の医学部と体育学部の協力で考案されたものです。

(1)基本
 @回数:1週間に3〜6回
 A時間:1回に30〜60分(1週間合計で180分以上)
 B運動種類:力まず、ゆっくり、長くできる運動
  (例:歩行、水中歩行、自転車、水泳、ジョギング)

(2)運動強度
 まず3〜5分間、一定スピードで運動した後に立ち止まり、直ちに15秒間の脈拍を測定します。
 15秒間の目標脈拍数=32−年齢/8(±2以内に合わせる)
 (例、40才:27、48才:26、56才:25、64才:24、72才:23)

(3)(2)の方法できつく感じる場合は下記の運動強度にして下さい。
   主観的運動強度法 (ボルグ法)
非常にきつい
かなりきつい
きつい
ややきつい←この強度に合わせる
楽である
かなり楽である
非常に楽である

(4)注意点
 @高血圧はタイプにより、運動療法の効果が出やすいものと出にくいものがあります。
 A運動はずっと継続しなければなりません。中止すると1ヶ月で効果がなくなります。
 B運動中の動悸、胸痛、胸部圧迫感は不整脈や虚血性心疾患の危険信号です。
  運動を中止して、主治医にご相談下さい。

(5)記録
 その日行った運動の種類と時間、それに血圧を記録します。

(参考)
 運動によるエネルギー消費量(1時間あたり、カロリー)
40kg50kg60kg70kg80kg
睡眠4151617281
読書56708498113
自動車運転698696123140
乗物(バス、電車立位)90113135158180
散歩110140166193220
歩行、軽い体操135170205240275
サイクリング190240290335385
ウォーキング(時速6km)260330390460525
テニス340430510610685
水泳(平泳ぎ)475590710830950
 @食事治療でのエネルギーは、80カロリー=1単位です。
  1単位は、ごはん茶わんに軽く半分です。
 A消費エネルギーは体重によって違います。
 B眠っていてもエネルギー消費はあります(基礎代謝)。
  ですから、運動による正味の消費エネルギー量は基礎代謝を差し引いた値です。