第5回 血圧を測ってみよう


 1、血圧を測ってみましょう。
 風邪で受診した人もいつも医者に血圧を測ってもらっている人も自分で血圧を測ってみましょう。
 方法は簡単。待合室の本箱の中に血圧計があります。立っていては正確に計れませんし、軽いですから座っている所まで持ってきて下さい。まず電源を入れます、そして上腕(肘より上)に巻き付けて固定、スタートボタンをおします。あとは機械が自動的に測ってくれます。今日の血圧をここに記入して下さい。念のためもう一回測って下さい。
   1回目:最高    mmHg、最低    mmHg
   2回目:最高    mmHg、最低    mmHg

 2、最高血圧と最低血圧
 さてそれで最高血圧と最低血圧という言葉が出てきました。この言葉から説明を始めましょう。  ご存じの通り心臓は定期的に拍動して全身に血液を送り出しています。血液の働きは酸素の運搬で、心臓から送り出された血液は全身の臓器や筋肉に酸素を運びそれで人間は生きて行く事が出来るのです。だから心臓はいわば血液のポンプです。このポンプから送り出されて来た血液の圧力を動脈で測った値、これが血圧です。
 さて今ではもう見かけることも少なくなりましたが、井戸の手押しポンプの事を一寸思い出してみて下さい。ハンドルをぐっと押し下げると水が出てきますが、次にハンドルを引き上げるとポンプの中に水がたまります。そしてまたハンドルをおろすと水が出てきます。心臓もちょうど同じです。最高血圧というのはポンプがぎゅっと縮んで血液を送り出すときの圧力、最低血圧というのはポンプが一休みして中に血液をためこむ時の圧力です。

 3、血圧の正常値、高血圧
 最高血圧は年令によって違いますがふつう100から140位が正常です。最低血圧は80以下が正常です。そして最高血圧が160以上、または最低血圧が90以上の場合を高血圧といいます。
 さて血圧が高い時、つまり高血圧の時にどうして治療しないといけないのでしょうか。放っておくとどういう事になるのでしょうか。
 また例えを使いますが、血管はゴムホースの様なものです。いま書いてきたように心臓からの圧力をいつも内側に受けています。その圧力がいつも高いとちょうど輪ゴムをずっと引っ張って伸ばしていると早く傷むように血管も傷んでしまいます。それで脳出血や心筋梗塞のような血管の病気になりやすくなってしまいます。下の図は日本の厚生省のデータですが、この事は世界中で広く認められている事実です。高血圧の人は正常の人に比べて寿命が短いことが分かっていますが、これはこういう理由によっているのです。自覚症状が無くても高血圧を治療しないといけないというのはこういう理由なのです。

 4、動脈硬化
 ところで『けんこうニュース』をずっと読んでおられる方は、この図を見ると、高脂血症(コレステロール)の図にとてもよく似ている事に気づかれるでしょう。そうです、同じ事なのです。そして高血圧のために血管が傷んでしまうことも動脈硬化と言うのです。
 動脈硬化を起こす原因としては、高血圧、高脂血症の他に糖尿病、喫煙が重要です。そしてこれらが重なって存在するときはより重症の動脈硬化になります。つまり軽い高血圧だけならそんなに心配しなくても良いのですが、同時にコレステロールが高くて糖尿病もあってしかもヘビースモーカーではこれは厳しいという事です。




 5、高血圧の治療
 詳しくは別の機会に書きます。ここでは要点だけ書きます。
(1)原因になっている病気がある場合:その病気を治療します。
(2)生活療法:@ストレスをさける
       A食事療法(肥満を避けること、塩分の制限)
       B運動療法
(3)薬物療法:医者の指示に従って下さい。