第6回 カロリー制限の実際
どんな病気でも食事治療が基本ですが、特に糖尿病、高脂血症、肥満それに高血圧などではカロリー制限が重要です。
1.まずはじめにあなたの肥満度をチェックしましょう。
あなたの身長と体重を書き込んで下さい。
身長: cm 体重: kg
次に身長から理想体重を計算します。計算法は身長(メートル)の二乗×22です。例えば身長170cmの人の理想体重は1.7×1.7×22=63.6kgです。
それであなたの身長から実際に計算してみて下さい。
× ×22= kg
実際の体重と比べてどうですか? 比較のしかたは(実際の体重÷理想体重)×100−100=肥満度(%)です。
あなたの場合は( ÷ )×100−100= %ですね。
この値が±10%以内の人は正常です。そして20%以上の人は肥満です。正常の人はたとえ糖尿病があってもコレステロールが高くても基本的にはカロリー制限は今以上に厳しく考える必要ありません。でも肥満の人はたとえ糖尿病でなくても将来に備えてカロリー制限が必要です。
2.カロリーについて
さて栄養学では食品の中に含まれるエネルギー(熱量)をカロリーという単位で表します。1カロリーは1リットルの水の温度を1度上げる熱量です。((注)中学校の理科では1カロリーを1ccの水の温度を1度上げる熱量と習いました。だから栄養学の1カロリーは理科で習った1000カロリーと同じです。)そして現在、日本人は平均して1日に約2000カロリー程度の栄養をとっていると言われています。
3.80カロリーが1単位
実際の食事治療の場ではもっと大雑把に計算できるように80カロリーを1単位として計算します。例えば、鉛筆が沢山ある時に60本とは数えずに5ダースと数えた方が簡単なのと同じ事です。それで例えば2000カロリーは25単位、1920カロリーは24単位となります。
4.ところで1単位(80カロリー)とは実際にはどの位の食事量なのでしょうか。ご飯では茶わんに軽く半分、食パンでは半きれが1単位です。詳しい事は『文光堂』から出版の『糖尿病食品交換表』(309円)にすべて載っていますが、ここではありふれた食物を例にとってそれぞれの単位数を書き出してみます。他の食物は類推して下さい。
駅弁(幕の内) | 6〜8 | ビール(大1本) | 3 |
カレーライス | 6〜8 | 日本酒1合 | 2.5 |
親子どんぶり | 6〜8 | ウィスキー水割り1杯 | 1.5 |
カツどんぶり | 8〜10 | ジュース(250ml) | 1.5 |
ちらしずし | 6〜9 | 牛乳(200ml) | 1.5 |
チャンポン | 6〜8 | カステラ1切 | 2 |
月見うどん | 4〜5 | どら焼き | 2 |
ハムサンド | 5〜7 | チョコレート15g | 1 |
スパゲッティ | 5〜7 | りんご(中〜大1個) | 1.5 |
(注)昭和52年の調査によります。割り増しして考える必要のある食品もあります。
5.あなたは1日に何単位食べているのか?(実生活のチェック)
よそ行きではなく平均的な食生活の時、メモをとって上の表を参考にして1日分計算してみて下さい。 単位
6.必要カロリーの計算
さてここであなたの必要カロリーを計算します。仕事や運動の内容によりますが、軽〜中等度の作業をする人では理想体重1kgあたりの必要カロリーは30カロリー(重労働で40)です。例えば軽作業で理想体重64kgの人の必要カロリーは30×64=1920カロリーです。
あなたの必要カロリーは ×理想体重= カロリー、
これを単位に換算すると ÷80= 単位ですね。
7.さて実生活と必要カロリーの差はいかがでしたか。明らかに必要単位を越えているようなら減らして下さい。でも急激に減らすのは大変ですし長続き出来ません。また危険です。だからそんな事は必要ないのです。ゆっくりと減らすように努力して下さい。
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