太陽信仰は人間の生理に根ざす
  "太陽活動と景気(日経、嶋中雄二)参照"

 人類にとって太陽は神、「太陽信仰」は宗教の根元である。
 人間は太陽を敬い、手を合わす。太陽が農作物を育て、自然の数々の恵みを与え、人間生活になくてはならない存在故に、畏れ、敬い、祈る対象となったのは当然といえようが、単にそのような経済的、功利的理由だけではなさそうである。太陽信仰はもっと人間生理との関わりが深いところにあるのではないか?
太陽活動と人間生理
磁気嵐の影響

 太陽活動はほぼ11年周期で変動する。活動が激しい時期には黒点の数や、大爆発(フレア)が増え、地球に磁気嵐などの影響が出る。
 「黒点」は太陽内部にある磁場の一部が光球面に浮力がつく形で顔を出したもの。表面に現れる磁場のエネルギーが弱くなると黒点数は減り、強くなると増加する。

磁気嵐の影響事例

 "太陽活動の活発な日には心筋梗塞と狭心症の発作が20%も増える。磁気嵐で電話回線が故障しているとき、患者数が多い(心筋梗塞の臨床研究)"

 "黒点の出現から2〜3日間の自動車事故の件数が多い。報告事例によると(旧ソ連)、黒点数少ないときの4倍、(日本)、1996年7月1日〜15日、半月間の日本の10大都市自動車事故集計、黒点が最大に達した7月7日、事故件数も最大に達した"

"自殺約8%増える(ドイツ医者、デュール)"

 "磁気嵐の撹乱は人の精神活動を乱す。精神病院患者の乱れと黒点数は相関する。精神分裂症の患者数は太陽活動の周期と同じく、約10〜11年の周期的変化を繰り返すで(アメリカ整形外科医ベッカー)"

人間は自然の子、体内にか抱える磁場

 人には磁場が存在する。血液中のヘモグロビン鉄と色素の複合体"ヘモ"と蛋白質である"グロビン"から成る"グロビン"磁性を持たないが、"ヘモ"は鉄分なので磁性を持つ。血液が磁気性質を持ち、太陽の磁気嵐に影響を受ける所以である。
 研究では、太陽黒点が活発になると血液凝固速度が2倍以上高まるといわれている
 また、脳活動は生理的、生化学的プロセスである。その基本は、ナトリュームイオンやカリュームイオン濃度の差を含む"膜構造"にある。
 これらのイオンの"透過性"が神経伝達物質や神経ホルモンに作用し、個々の神経インパルスの伝達や中枢神経全体の機能のコントロールする。
 透過性は"膜電位"と呼ばれる電流でコントロールされている。電流であるから磁気に多大に影響される。
 当然、太陽の磁気嵐は人間生体の生理機能に影響を与える

気象と健康
  気象で読む身体(講談社現代新書、加賀美雅弘)参照

 人間の健康や体調は気象に影響を受ける前線や低気圧が通過すると気分が悪くなったり、血圧の異常、頭痛、関節の痛みなどを訴える患者が多くなる。気圧の変化や急激な気温の変化によるもの
 身体には自動調節機能があり、気温、気圧、湿度、日照などの気象の変化に対応しているが、変化が急激だと作動しきれず体調不調になる。いわば気象病といわれるもの。  季節の変わり目にも季節特有の病状が現れる。春、一般に"木の芽どき"と呼ばれている季節は精神不安定になりやすく、いわゆる"5月病"の季節。
 新入社員や学生がノイローゼになり自殺が増える。性犯罪も多くなる。気温の上昇と陽気により、人間の本能を抑制する大脳新皮質のコントロール機能が効かなくなり、衝動的、動物的にするという。

 東洋医学では古来、身体の健康や病気が大気の状態や変化に密接な関係を持っていることに注目、自然(陽)と人間の身体(陰)、"気"との調和、(陰陽説)を治療の根本にしている。
 大気は6気"風""寒""暑""湿""燥""火"からなり、この6つの要素が身体、病気に強い関係を持つとしている。
 "風邪"には"風"という文字がつく。その他、"風"のつく 病名が多い。
"破傷風""風疹""痛風""中風"等々、由来は、古代中国で病気のことを"風病"と言っていっていた事による。
 当時、病気は"季節"と"風"に原因があると考えられていた。各"季節"ごとに固有の"風"が吹き病気の原因になるというもの。「風は万病のもと、風は百病の長」である。

 また、"風水論"は自然環境と健康との関わりを日常生活に取り入れたもの。
 日常生活が健康で幸運をもたらすようにするには、住宅、都市、墓作りが自然環境の良い影響を受けるよう設計することである。その方法の実践的な教示である。

    現代、ドイツでは気象台から"医学気象情報"が毎日出されている。医学地理学者の籾山政子氏はその内容を次のように紹介している。

 「医学気象予報の概況をお知らせします。
 ドイツ北部には北海方面から気圧の谷が通過し、大気の状態は非常に不安定になっています。この気圧の谷は、これから東に移動しますので、夕方にはベルリン付近にまで寒冷な大気が吹き込む見込みです。このため、全般にベルリン地区では身体への刺激が強くなるでしょう。またドイツ北部でも身体への刺激は、おおむね中程度から強度といった状態になるでしょう。
 続いて、医師の方々にお知らせします。
 ドイツ北部では、痙攣が起こりやすくなるほか、急性の心臓および循環器系の障害が生じる可能性が著しく高くなるでしょう。ベルリン地区では、これらの傾向が特に強い模様です。中でも循環器系の障害、炎症や発熱などの症状が生じる見込みです。また痙攣発生には厳重な注意が必要です。しかし北ドイツ、ベルリンともに夜遅くなってこれらの症状や、それにともなう苦痛は徐々に和らぐでしょう

つぶやき

 気象と身体、健康との関わりが分かりやすく述べられている好著。
 体の変調に、すぐ薬漬けになる人。一読を勧める。それにしても人間はもっと自然を畏れ敬う要あり。


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