A |
「このあいだ面白いアメリカの漫画を見たな。精神病院の中の鉄格子の部屋で初老の男が喚いている。"俺は女の全てがわかったぞ!"それを観察している医者が"未だ駄目だ"と首を振っているんだ」 |
B |
「そら一生出られないな。女にはソクラテスも孔子も匙を投げたんだから」 |
C |
「ワグナーだったけ?"女性は人生の音楽である。音楽は耳に快い協和音だけから成り立っているわけではない。不協和音も不可欠だ"」 |
B |
「"今鳴いたカラスが笑った"って言うだろう。あれ女のことを言っているらしいな。女の共感能力は感情移入過多。それも表面的なのですぐケロッとして他の話に移れる。それに女は部分で全体を判断する。一回だけでも冷たくすると全て冷たいと判断する」 |
C |
「実体験だな。もっとも、哲学者のヘーゲルも言ってるけどね。"もし女性が政治の頂点に立つとすれば国家は危険に落ち入る。女性は普遍性の要求するところに従いて行動するのではなく偶然性や愛憎、個人的意見にしたがって行動するからである。"」 |
A |
「そらどうかな?彼の時代はそうだったかもしれないが、英国の元首相、サッチャー女史なんか男に出来なかった国家の再建を果たしたからな。女も社会的訓練次第だ」 |
B |
「しかし、生理的にどうにもならない異質なものがあるよ。亡くなった小説家の有吉佐和子が何んかに書いてたな。
"口惜しいけど、妊娠している時、小説が書けなかった。小説は抽象的、普遍的作業、それがどうしても出来ない。このときほど女であることを痛感した事はない"てっね」 |
A |
「確かに、男と女は異質さ。だがこれからは、この異質性をお互いに認識しそれを生かすように共存していかないと結婚も出来ないし、家庭は崩壊する。企業も活力が出ない。なんだか堅い話になったな」 |