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「出世術二十一ヶ条」 (えらい人はみな変わってはる 谷沢永一
新潮社参照) 昭和の初期、サラリーマンが働く人の主流を占めつつある時代、その世相風俗を描いた小説や会社での心得のハウツウものが出版されだした。 その一冊に「サラリーマンは是非これだけは心得よ」(昭和8年・日東書院 伊藤博)がある。そこに掲げられた「出世術二十一ヶ条」は今でも通用するのではないか。 1,「正直なれ。正直ということだけでも本当に徹底すると一種の大才に匹敵する」 寸言、こんなことがいの一番に挙げられるのは、いつの時代でも正直者は少なかったのだなあ。だけど“バカ”は付かないようにしよう。 2,「返事が第一、返事の上手な男は出世している」 寸言、今や家では女房も子どもも返事などしてくれず無視状態にある上役には効果絶大、“うい奴”と可愛がられること必定。 3,「感情は抹殺すべし、どんなに癪にに障っても感情を殺して忍耐していることである」 寸言、先生“自分の主張や意見を明確に述べよ”などの教育は企業組織ではミスリードになるよ。 4,「重役は奉るべし。度をすごしてもいけないが世に煽てられて怒る人はいない」 寸言、人を良い気持ちにさせ、喜ばせるごますりも芸のうち、ビジネス能力がなければ、せめてごますり能力を磨け。ごますりは気配りにも通じる。頭のいい奴は相手にごますりとわからないように工夫してゴマをする。但しゴマだけではだめ。それに、やはり、仕事能力が伴なければ、いづれ化けの皮がはがれる。 5,「多少の洒落家あれ、サラリーマンたるもの現在の情勢では収入に比して少々不相応な身なりをするのを普通とされている。月賦で洋服を買う所以である。サラリーマンは計算や記帳の実務を弁ずるほか、対外的にウェーター的意義と対内的に美観を添えるマネキン的意義を含んでいる」 寸言、これについては、現代では良い訓練修行の場がある。ホスト、ホステスクラブ、バーなどで2〜3ヶ月も勤めれば会得できる。新入社員訓練に取り入れては如何? 6,「お喋りであるなかれ、与太や駄洒落は不平を紛ら課していると見られ、バカにされる」 寸言、特にOLに“かるい”“うざい”“ださい”と顰蹙をかいもてない。口の軽い奴は機密を要する懐疑や役員会に登用されっこない。また、どこかで俺の悪口をいっていると上役を疑心暗鬼にさせる。 7,「規則正しくあれ。サラリーマンは実務家である。インテリゲンチャであり、科学的な精神が必要だ。規則正しくてこそ本格的である」 寸言、いつの時代でも空理空論は軽蔑される。科学的とは法則性を見つけること、また合理的とは目的に合っていること、原因、結果がわかること。上役の規則的習性を見抜くと御しやすいぞ。野球でも良い打者はビッチャーの規則的癖(カーブを投げるとき、直球の時の違いなど)見抜くことに長けている。 8,「健康第一であれ。一年365日、無病息災で時間を守ることが大切である」 寸言、永年勤続、無事故、無欠勤、無遅刻表彰はサラリーマンの鏡、俺にはとうてい無理、と言う奴は出世を諦め、趣味に生きろ。ただし趣味もそれで食えるぐらいの域に達すべし。でないとリストラされると路頭に迷うことになる。 9,「努力の人であれ、天才など人にわかるものでない。10年、20年、こつこつとやることである」 寸言、年功序列、生涯雇用を排除して業績主義をとっている企業は軒並み不振。人間は人参だけでは働かない。また人の能力発揮には、早い人、遅い人とタイムラグがある。 年功序列主義は決して時が経てば誰でもが同じレベルで出世していくのではない。長年月かけて、その人を訓練し、特質を見極め、最大限能力を発揮させながら、競争させ、ふるいにかけ、組織の中で自ずから認知された人を昇進させるという、一種の能力主義である。その中では敗者復活も可能である。人間を非人間扱いにする業績主義と異なって、人間を大切してやる気を出させるシステムである。 「何事も過度であるなかれ、色気がありすぎてもいけない」 寸言、分を心得よ、なんでも手を出すな、また、色気過剰のOLよ、職場で色気を出しすぎると、逆セクハラになるよ? 「お辞儀上手であれ」 寸言、お辞儀は首だけではなく、腰を曲げ深々と、恭しくするべし、首振り人形ではだめ。 「実力主義であれ、いづれ解ってもらえる」 寸言、年功序列主義組織では“いづれ”は期待できる。現代では多少自己PRはいる。しかし徒な外連見は見透かされる。 「突飛な了見を持つな」 寸言、現代では突飛ともおもえる、創造性は必要、しかし、いきなり創造的な意見を述べても拒否反応と、抵抗が強い。予めの根回しと説得力を培い、一人でも多くの同士を得る必要がある。 「小さな事も真面目にやれ」 寸言、仕事の大半は雑事、これを真面目、確実ににやっていると、同僚、上司の信頼が増す。次第に大きな仕事を任されるようになる。 〜仕事をやっている場合には、上司が提案してくる思いつきがばかげているほど、熱狂的な態度でそれを受け入れるのだ。いかに狂気じみた考えであろうと、その仕事にありったけの熱意を注ぐのだ―――勿論、上べだけだが、ある程度時間がたったら、困難な点が目につくようにする。そうすれば、上司はいい考えでないことに自分で次第に気づくようになるものだ。だれだって、失敗するとわかっていることに関わり合いたくないから、その計画はいつの間にか葬り去られてしまう〜 (ジャック・ヒギンス、“鷲は舞い降りた”菊池光訳 早川書房) 「上役に煽てられたら喜ぶがよい。俺は本気にしていないぞという風な小賢しい顔をしたら損である」 寸言、上役はあなたの喜ぶ顔をみて自己満足し同時に、自分の力を誇示し、恩に着せたいと思っている。無邪気に喜ぶ顔をみせ、素直に感謝の意を表明すれば、また、喜ぶような便宜をとろうという気持ちにさせる。 しかし、女性は生得的にそういうさがを持っている。女性の嬉しいには騙されるな。 「大言壮語するなかれ」 寸言、壮語したときは自分が偉くなったようで気持ちが良いが、後でシンドクなるので止めた方がいい。 「人に借金するなかれ」 寸言、分相応(死語)の生活を心がけていれば、借金などしようもない。 昔から“収入の10%は貯金、後は全部使い切れ”という、このやり方なら、惨めったらしくはなく、それなりの生活は享受出来る。 「女房はなるべく良いのを持て」 寸言、昔も今も至難の業、“いい女の10ヶ条”(性、参照)。 英国の権威ある事典“ウェヴスター”の<女らしさ>の定義では ジェントルンネス=優しさ コンパッション =深い思いやり モディスティ =淑やかさ、{淑}という字は“水の上を小さくまたぐ”という意味。 としていたが、最近、ウェヴスターはこの定義を<冷酷><自己中><粗雑>と変えようとした。 これを、アメリカの動物愛護協会?がききつけ、政府へ英国商品輸入関税増額を商品価格と同額にするようロビー活動を展開、同時に、英国紅茶をボイコット、海に投げ捨てるという過激な行動を始めたため、たまらず撤回した。 「危険思想を持つなかれ」 寸言、内部機密の漏洩、企業スパイ、派閥争い、敵対的買収など現代の危険思想。 「女事務員に色目を使うな」 寸言、“昔、不義はお家の御法度”と言う言葉があった。不義を働いたものは切腹、打ち首になった。 現代でも、社内不倫、社内恋愛は出世の妨げになる。第一、手近なところで間に合わせようと、社内の女性に色目を使うなど、お手軽でインスタント、相手の女性にも失礼、男としても情けない。だらしない。努力と能力不足ではありませんか。 「向上心を持つべし、勇気、向上心、会社の発展を計ろうといういう抱負、それらがなければ屁のような人間になってしまう」 寸言、自分の“キャリア”を磨き向上させることは、会社のためもあるが、現代のように労働力の流動化が著しい時代では自衛のためにも絶対に必要。 自分のキャリアが何処でも通用するならば、いざという場合、さらに良い条件で転職が出来る。 最近のリストラブームで解るように、会社は社員を守ってくれない。業績が悪くなると、たちまちリストラに走る。自己防衛のためにも、自分の能力を磨き向上させておくことだ。 自分のキャリアを磨くには、常に、自分の仕事が会社を支えているのだという自負と、企業の将来を担うのだという経営者の気概を持ち、“戦略”と言う指向性を持って行動する事が肝要。 < ききみみずく >
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