『酒はぬるめの燗がいい、肴は炙ったイカがいい』

 「八代亜紀の船唄は酒の真髄をついた歌だね。近頃、吟醸ばやり、良い酒なので冷で飲むものだとされているが、フルーティの香り,いわゆる吟醸香など後から添加出来るし、好き嫌いがある。それに冷酒はつい飲みすぎて体にも良くない。

 酒はぬる燗"44〜45度"に限る。人肌で"38度前後、若い女性の内股の暖かい感じだ。酒の味をまろやかにし、甘みを保つ。これが最高。あつ燗"55度前後"は寒い時にはいいが,酒の味を壊す。昔はちょとした酒場には燗番がいて程よく燗がついた酒を飲ませてくれたものだ。大名燗といって、湯の代わりに酒を使い燗をする贅沢なものもあったらしい。それほど酒の味に燗は大切だということ。

 それから塩味のスルメは肴に良く合う。日本酒にはグルタミン酸が多く含まれる。昆布の味だ。化学調味料のグルタミン酸ナトリュム、これの甘みは塩味が加わると一層良くなる。塩味のきつさを柔らげる。スルメノ干し物の味も良くなる。グルタミン酸ナトリュムとイノシン酸ナトリュムとの相乗効果だ」


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