神聖喜劇「悪魔の悪戯」

昔々、神様が粘土で2体の人形をせっせとお造りになっていた。

「折角、美しい地球を創ったと言うのに、悪魔の奴がでっち上げた、ズー体ばかりでかくって、知性のひとかけらもない恐竜がやたらはびこって情緒の一欠けらもない。恐竜はいずれ隕石でも落としてみな殺しにしてやるが、それに代わる生物がいないと淋しい。今度こそ知的生物を創ってやる」


そこに悪魔が見物にやってきた。

「神様、そんなに汗かいてなに作ってはりまんねん?」


神様は嫌な奴が来たなとお思いになったが、そ知らぬ顔で仕事を続け、やっとつくりあげたとき,他の用事を思い出された。そこで悪魔に

「私は用足しに出かけねばならない。お前は留守番をしていてくれ。だが、これは未だ生乾ききだから触ったらダメだぞ」
「大丈夫、何にもしまへん。安心して行ってきなはれ」


神様がお出かけになると、悪戯好きの悪魔のことじっとしているはずがない。
 人形の一体に近づき、腰の当たりを"摘"んだ。


「なんやこれ?えろう柔らかいなぐにゃぐにゃしとる。もう一つはどうや?」


悪魔はもう一体に近づき、両手で胸のあたりを"鷲ずかみ"にした。そして指を 一本腰の当たりに突っ込んだ。

「こらおもろい、あれ?!さっき"摘"んだところが硬うなっるで」


悪魔が悪戯して遊んでいると、神様が帰ってこられた。

「触らなかっだろうな。あれ!何だこれは!お前、ダメだといっていたのに」
「えろう、すんまへん。退屈やったさかい、つい」
「仕方がない。お前に留守を頼んだ私がいけなかったのだ。懺悔しよう。人形は後で直せば良いのだ」
「やぱり神様でんな、すぐ許してくれはる。おおきに」


悪魔は舌をペロリと出して飛んで行った。 しかし神様の寛大なお許しは甘かったのである。人形は乾いてしまい修整できなくなっていた。神様は大変、疲れていたので、明日また創り直そうとお寝みになられた。
 その晩のこと、悪魔が忍び込み人形を盗み出した。それを"人間"と名づけ地球に放り投げた。地球を壊してやろうと企んだのである。
それからの人間の跳梁は凄まじい。悪魔が触った所を弄び、人間をどんどん増やし始めた。のみならず、神様から授かった知恵を駆使して文明を創り繁栄した。
 今や"人類"と呼ばれてランクアップされた人間どもは他の"種"を圧迫し地球の支配者然として振舞い出した。
それからの人間の跳梁は凄まじい。悪魔が触った所を弄び、人間をどんどん増やし始めた。のみならず、神様から授かった知恵を駆使して文明を創り繁栄した。
 今や"人類"と呼ばれてランクアップされた人間どもは他の"種"を圧迫し地球の支配者然として振舞い出した。


「いずれ人類は滅ぼさねばならぬが、その前にこれ以上の増殖を止めねばならぬ。それには悪魔が触った部分を使いたくないようにするのが一番だ」


そこで,神様は"結婚"という軛(くびき)を架し、"永続"を誓わせることにした。

「結婚による自縛と悩みは気持ちを萎えさせ、マンネリが性欲を衰えさせる」


確かに、この罰は効いた。少子化が進んだのである。

「神様がそんなかわいそうなことしたったらあかんで!よっしゃわしがなんとかしたろ。」


悪魔は人類に"不倫"という文化を教えた。人類はたちまち元気と活力を取り戻した。しかし、"気配り"することは教えなかっので、家庭が崩壊し,私生児が増え、無感情,無感動の子供達が銃を乱射したり、暴れ出した。その上、ゴミが散らかり放題、地球の荒廃は悪魔の目論見どおり進んだ。

小癪な悪魔メ!神様はもっと人類を衰えさせなければならないとお思いになり、生活に便利な道具を与えた。中でも、自動車は傑作だった。

「人類どもが体を動かさなくなると、運動不足で筋肉が衰え若死にする。性欲も減退する」


悪魔はせせら笑った。

「ウオキングすりゃええがな、"バイアグラ"もあるで」


地球の存亡をめぐって神様と悪魔の綱引きが始まり、その結果、自動車と精力剤の売れ行きの伸びがまったく比例することになった。
 このように"人類を減らして地球を守ろうとする神様""人類を増やして地球を壊そうと企む悪魔"が戦略の限りを尽くし日夜、戦い続けている。
 その最中で時々、悪魔がボヤク。

「わしは、こんなに人類のため思うてやっとんのに、奴ら、ちょっとも感謝しよらん。なんかいうと神頼みや、神様が人類になんかしてくれたこと有ったんか?亡ぼそう、亡ぼそうしとるやんけ、わしの方がよぽっど頼りになるで、わしの方に賽銭くれや」


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