SF落語、『初め』(ファースト)
“下天”の守(神)VVが「デルファイ型コンピュータ」の前で考え事をしている
このコンピュータは宇宙内外の森羅万象の真理を写しだし、解明する、下天の守自慢の執務用品。今、スクリンセーヴァには人間の“遺伝子構造”が映し出されている。
守「この遺伝子構造はあまり質がようないな。残虐性Mを持とる。2回も大量殺人をやらかしおった。一回目は織田信長のとき、2回目はポルポトや。
なんとか構造改革したろうと、ええ“魂”送り込んだんやが、守旧派遺伝子が強く、あかなんだ。
しゃない、この際、抹殺やな✂」
そこへなんとなく蔭の薄い“魂(たま))”すうっと登場、か細い声で
魂「守さん、ただいま、帰って参じました」
守「ああ吃驚!!した!いきなり魂の抜けたような声出して、なんやお前、
もう帰ってきたんか?」
魂「何ゆうてはりまんねん。あては抜け出したきた魂の方でんがな。守さんが吃驚してどないしまんねん。それに、あの世(人間界)に50年も行ってたんやで。もううんざりや!」
守「バカもん!!ここは“下天”やど。お前、もう忘れたんか?下天の一日はあの世の50年分やいうことを。そやさかい、お前があの世に行ったんは、昨日のことやないか。もうちょっと粘らんかい!!」
魂「守さんにそんなこと言うてもうたら、かなんな、寿命はアンさんが決めはるんと違いまんのんか?寿命遺伝子たらいう、なんか、ややこしいもん組込んではんのはアンさんや!ちゅう、もっぱらの噂でっせ」
守「そらそうやけど、そう厳密なもんやない。初めから決められた通りやと面白うないやろ。第一、医者や薬屋が儲からんようになる。健康食品も売れようになる。健康産業はガタガタや。
人間の努力次第で多少、寿命が伸び縮みする余地も造っとかんとな。努力は修行の一つや。その点、おまえは酒ばっかり食らって、怠けていたさかい肝腎硬めで、幽体離脱や」
魂「なんや守さん、健康産業から賄賂‘、貰ってはるんちゃいまっか?」
守「守に対してなんちゅうこというんや。守の怖れを知らぬ痴れものめ!!」
魂「酒好hきも遺伝子のせいというやおまえんか?そやったら、それを組みこまはったあんさんの責任ちゃいまんのんか!」
守「屁理屈を言うな!!最近の魂は屁理屈が多うて困る。これも『ヒトゲノム解析計画』たらいう“遺伝子情報”をコンピュータで全て解析しょうという罰当たりな人間のせいや!!」
魂「全部解析できるそうでっせ。守さんの折角の人間創造ノウハウもいよいよ暴Xかれまんな。
人間創造はなにも守さんの独占やない。今までが独占禁止法に違反してたんや。それに、遺伝子の研究は“病気”を治療したり、“食べもん”を増産したり、人間のためになるもんとちゃいまんのか?そやったらアンさんの手助けをすることやおまへんか?」
守「手助け?」
魂「そうでんがな、もともと人間は、守さんがつくらはったんや。これを発展させるちゅうことは、手助éけしていることと違いまんのんか?」
守「それがいらんこっちゃいうとるんや。人間みたいなものに手助けしてもらわんでも、こっちはチャンとスケジュール立ててやっとんるんや、
遺伝子構造見てみい。長い間かかつて、いろいろな環境のバランス調整しながらあそこまで組み編げたんや。一朝一夕とちゃうで
地球時間で、3,700万年前、下天時間でも2,000年ちょっと前、俺の話し相手に、知的生物を創ろう思うて、猿の遺伝子を突然変異させてみたんや。
その頃は、俺は孤独—やった。上天の守から地球の管理を任されたのやけど、地球にはなんもなくてな、退屈もしとったんや。
初めはアメーバーやプランクトン、なんかを創ってみたがおもろうない。
単細胞で直ぐ飽きた。植物もしゃべくりはできるが、動けんから、情報に乏しい。恐竜も図体ばかりでかくて単純ばか、総身に知恵がまわらん。
猿が出来たときは、嬉しかった。ようやく知的生物と会話が出来ると期待した。ところが、うっかりして、毛を三本植え損なっていた。そのため、助平で粗野!!
知的で高尚な会話など望むべくもない。がっかりしたが
守の辞書には「挫折」という言葉はない。気を取り直して、猿の遺伝子に突然変異を起こし、人類を創ることにした。
チンバンジーと人類の遺伝子は98.4%同じやからな、ちょっといじくるだけで、すむ。
え?どないしたてか?
そんないえるかい!!隠し味付けや、守業秘密や。
近頃、人間の中で、チンバンジーに言葉教えたり、数字の計算させたりしたり、なんやかや、いじくりまわして、人間に近づけようと実験しとる奴がおるが、無駄なこっちゃ。チンバンジーは決して人間にはならん。
守の領分を真似するなんて不遜もええとこや!!!
まあ、おまえに怒ってもしょうない。この際、少しだけ教えたるわ。
遺伝子は科学物質、核酸の一種やから地球環境バランスを変化〔例えば温度や放射性元素の濃度など〕させることで、突然変異ができる。
3,000年前、ようやく人類と類人猿との分化が始まった、
1,500年前、前猿人アフリカに出現、
500年前、草原で2足歩行、
190年前、ジャワ原人が出現、右脳、左脳が分かれ、知恵が出てきた。
50万年前、北京原人が火を使用。いよいよ人類の登場や、下天時間で27年ほど前や、
その間、地球の環境に少しずつ適応させ、バランスをとりながら遺伝子を組み編げてきたんや。
ところが、この初期人類、助平で粗野、まだ猿とそうかわらなんだ。酒と乱交の毎日、乱痴気騒ぎ、「ソドムとゴモラ」や。
男と女が“やる”Yのは別に文句はいわん。毎日気持ちよく¯¯人間繁栄に励むのやからな。
問題は、やり方や、縛ったり、むち打ったり、ローソクを垂らしたり、そんなもんで興奮せんと、やれんというのは変態や、俺の美意識にあわん。
守にも忍耐の限度がある。全人類を巨大隕石Mで焼き払ってやった。
“残酷やてか?”信賞必罰やないと勝手気ままな人間なんか束ねていかれへん。
とにかく、やり直しや!!
え?“守にもやり損ないがあるのかて?”それ云われると弱い!
守いうても、俺は末席の管理職、下天の守やからな。全能やない。“猿も木から落ちる、弘法も筆の誤り”いうやろ、間違いもあるわい。
え?“責任はどないなった?”てか? お前も痛いとこ突っ込むなあ!!
ここだけの話やがな、プロメテウスに押しつけたんや。
あんなしょうもない人間どもに、暖かくて、便利な火を守の国から盗んで与え、使い方を教えたから、人間達の気が強くなり、守の手に負えんようになったいうて、告発してやった。
かわいそうに、彼は今でも“コーカサスの山”Úに青銅の鎖kで繋がれている。
え?“良心が痛まんか?”てか?
あほか!!守は本来非情Nなもんや、それに、俺たちの先輩“お釈迦はん”もいっとるやろ“嘘(も方便”てな
ところで、おまえ!さっきから、えらそうに、遺伝子、遺伝子いうとるけど、それがドンなもんか知とるんか?何?よう知らんてか?無学なやっちゃな!!
しゃない、この際、ちょとレクチャーしたるさかい有り難く拝聴せい!O
遺伝子はな、DNAのなかに刻まれた情報や。
DNAは生命現象を支えるため、親から子にいろいろな情報を伝えるデオキシリポ核酸ちゅう科学物質や。色に染まりやすいから“染色体”ともいう。
DNA(染色体)は細い一本の糸が折りたたまれて、2重らせんの階段のような構造をしている。伸ばせば1.7~8mの長さや
なんやて?サナダ虫みたいやてか?おまえも古いな、例えるなら“ビデオテープ”ぐらいのことをいわんかい。
1個の細胞には、父母から一本ずつもらったDEN、2本対の全部で23組,46本が含まれている。
人間には60兆個の細胞があり、その一つ一つの中に46本のDEN(染色体)があるから膨大な数になる。
DNAの中には4種類の分子(4つの暗号、Aアデニン、Tチミン、Gグアニン、Cシトシン)が含まれている。
1つの細胞のDNAに含まれているA.T.G.Cの数は60億文字対,百科事典にすると大よそ700冊分に当たる。そこに、情報が書きこまれてある。
遺伝子(意味ある情報)はこのDNAの中の所々に、数百から数万文字分のページ゛のまとまりとなって刻まれている。その組み合わせによって、動物の種類,形、色などが決められている。
遺伝子の数は人の場合、10万種類。それは人によって異なり、個性の設計図š(遺伝子)になっている。
具体的には、生命体はタンパク質で構成されている。遺伝子はこのタンパク質を作る設計図や
これに従って、筋肉、体の構造を作るタンパク質や、科学反応をして代謝するタンパク質、ホルモンのように情報を伝えるタンパク質などなどが造られる酒に強いか弱いかも遺伝子設計図のせいや。
これらタンパク質が、バランスよく組み合わさり、働いて、人間の生命を維持する。また、これが微妙に異なることにより個性が出来る。
DNAをあるものから切り取ったり"、別のものに組替aえたりすることを遺伝子操作Fという。
地球上のあらゆる動物は共通の遺伝子を持っているので種という生物の壁を越えて自然界には存在しないまったく新しい生き物を作ることも可能やが、これも地球全体の生物のバランスをとりながらやらんと大混乱する。
下手すると、全ての生物は死に絶える…かも知らん。とても人間が作ったコンピュータなんかでやることやない!!
遺伝子組換えz
他の生物が持っている強い、遺伝子を組込む。例えば、作物自身に害虫を駆除する能力を身につけさす遺伝子組換え技術
土の中の殺虫性遺伝子を持つ微生物•、それ(毒素の遺伝子)を取り出して、作物が感染しやすい細菌の中にいれ、この細菌を作物の細胞に感染させると毒素を作る遺伝子が作物の遺伝子の中に組込まれる。
この細胞が分裂して増えると,作物全体が毒素を持つようになる。農薬をつかわないので環境汚染が抑えられる。
そやけど、遺伝子組換えをした毒素植物の花粉を食べた蝶の幼虫が死ぬおそれがある。自然体系が破壊される。人間にも影響が大きい、危険やr
食物連鎖\いうこと知っとるやろ?自然界で食うか、食われるか、
一連の関係のことや。
AがBに食われ、BがCに、CがDに食われる。これが連鎖や。
このAを、仮に、食料になる植物とするか これを増産するため、この遺伝子を操作して、
害虫に強いものにする。ところが、葉を食べた虫Bは毒素のため死ぬ。食物連鎖が崩れる。生態系が混乱し、生物は滅びる!!!危険が生じる。
そうならんように連鎖の微妙なバランスをとりながら、今までやってきたんや。
大変な手間、暇かかっとるんや。地球は俺の苦心の芸術品や
それを無視して俺たちの領域にまで手を出すちゅのは不遜きわまれリや!!」
魂「そらおかしいわ、守さんのやらはることに手出すな、いわはりますけどな、そんなら、いわせてもらいます。
守さんはどうして遺伝子の中に、ショウモナイ情報"を入れなはるんや?
生まれつき難病の遺伝子や、破壊、殺戮、盗みの衝動遺伝子なんかそうやおまえんか!
聞くところによると、凶暴性の遺伝子構造はY遺伝子を2倍にしてるいうやおまへんか。2Xが女性、X+Yが男性、X+2Yが凶暴M何でこんなことしまんね?
人間はそれらを何とか克服しようと一生懸命にやてまんねん」
守「ショウモナイとはなんちゅこというんや!!守を冒涜すると地獄へ落とすぞ」
魂「自分の痛いとこ、批判したから云うて、そら横暴や!!言論の自由の圧迫や!!圧制の守を倒せ!!全国の魂団結せよ!!!」
守「じゃかましい!!ぎゃあぎゃあさわぐな!!“守を抱いてもって静かになれ”広成子の箴言を学べ!!
しゃあない、お前みたいな低俗な輩にありがたい守の大御心なんか、わからんやろけど、説明したろ。
これも人類を鍛えて進歩させるためや。
難病があるからこれを克服しようという知恵と努力が生まれる。難病の人を助ける情や労わりの気持ちも生まれる。
破壊や殺戮、盗みもいっしょや、これを防止する努力や知恵が生まれる。こうして人類は進歩してきたんや」
魂「そら詭弁でっせ!
そやったら、難病で苦しむ人や、殺fされた人はどないなりまんねん?
ついこの間も“国のため死んでくれ”いうて戦争で仰山若い人が殉じたことがありましたな。その後、確かに国は発展ùしました。しかし、いまは、死んだ人のこと誰も覚えとらん、感謝&もせえへん。結局、捨石Nや、浮かばれまへんで。守さんが差別や不公平したらあきまへんで!!」
守「そんなに喚かんでもよろし。“情けは人のためならず”人間の死で、無駄死にということはない。あそこにいる魂みてみ」
魂「?? 仰山おりまんな!あれ! 羽ÿがはえている」
守「あれが戦争で死んだ人間の魂や、これから上天へいくんや、もう二度と人間界に戻らんでもええんや。戦争の愚かさを教える役割を果たしたんや。
それからあっちの方にいる魂な、人を殺したり、戦争を起こしたりしたやつや。あいつらは人間界よりはるか下の“地獄界”へ堕ちる。
“六道”ちゅうの知っとるか?
“地獄”“餓鬼”“畜生”“修羅”“人間”“天”の六道界、天以外は、お前ら魂の修業場所@や。
生前の行いを判断するのは、昔は閻魔庁やったが、人間が複雑系に属すようになった昨今、時代遅れの閻魔では手におえん。窓際や。
代わって、デルファイコンピューター¿で判断され、それぞれの界での修行先が決められる。天界も事務のIT化が進んどるんや
奴らが行く地獄はゆるくないぞ、最悪や、そこでは、逆に、
“眼には眼、歯に歯”の復讐刑罰が待っている。
奴らが生前やった同じ方法で、殺した人数分、それぞれ108回ずつ、繰り返し虐殺される。 焼き殺されたり、首を切られたり、辛い目に会う。
輪廻転生、因果応報やな。え?なんで108回やてか?殺された人を鎮魂する除罪の鐘Aの数や。
それから、あそこの犬の魂な“忠犬ハチ公”õや、あれは畜生界から人間界を飛び越して天に昇ることが決まりや、天の道案内係になる。 今時の人間には死語となり果てた、情と信義に富んどることが評価されたんや。ハチ公については、昔は小学校の教科書に載っていたが、今は、“あれは駅前の焼き鳥が欲しくて毎日通っていただけや”と下司の訳知りの声が大きくなって問題にもして貰われへんけどな、
犬はな、人間より高邁な知性öと洞察力öをもっている動物なんや。
それから、あっちの青びょうたんみたいな魂な、浮気)がばれて自殺hした奴や、折角の修行期間を与えたのに辛抱できんと逃げよった、卑怯な奴や、敵前逃亡の罪は重いで、今度は“修羅界”¯行きや、嫁はんと愛人の魂_に夜昼無く責め立てられる、最低一万年は続く、業苦"やな。
人ごとやない。おまえもさんざん浮気して嫁ハン泣かせとったな」
魂「ちょっと、まとくんなはれ!!!それはおまえんで!さっき守さんいいはったな。戦争や殺人なんかは、あんさんが植付けなはった遺伝子の作用やおまへんのか?自殺もそうや、鬱の遺伝子のせいや、浮気はおのれの種を残そうと、ばらまき行性や、
ペニスの亀頭が矢印型なのは、先に入っ他人の精子を掻き出すために、ああいう形に造られたのとちがいまんのんか?
初めから人間は浮気するように形作られてある。浮気は人間発展にも貢献する文化や、これもあんさんが造りなはった本能遺伝子のせいや、魂の責任とちゃいませ」
守「未だお前は何でも人の所為にする人間みたいな発想から抜け出されへんな。
ま、無理もないか、死んでから10年、下天時間で4時間以上たたんと人間界のしがらみ”から離れることが出来んからな。
それまでは、記憶も人間界を引きずっている。かつて、お前が下天界から人間界に落とされたときの記憶も忘れているやろ。
人間界でも死者が早くしがらみzから離れてくれいうて、回忌の法事をするくらいや。
しゃーない、少しでも早く記憶が蘇るため説明したる。
お前、なんでも遺伝子の所為にするけどな、人間の体は遺伝子だけでは動かん、“人間造って魂入れず”ちゅう諺ðがあるやろ。
え?人間やのうて、“仏造って”mとちゃうかてか?
アホ!!これは天界の諺や、天ではこういうのや。
人間の中に入った魂は遺伝子と、ものすごい葛藤をする。女癖の悪い奴、酒癖の悪い奴、怠け根性、など性悪遺伝子を矯正する戦いや。
これは魂のリクルートとロンダリングでもある。武運つたなく負けたら、また人間界へおとされて、鍛え直される。うまく使命を達成したら上天に昇れるñ。
え?結局は、不完全な人間を造った守さんの失敗作の尻拭いや、てか?
口の減らん、しれもの奴!!
これも、お前ら落ちこぼれ魂の敗者復活のためやないか!!!
いろいろな遺伝子を組み合わせて#、わざと不完全な“テストダミー”?を造ったんや!!これにどうチャレンジするかによって、魂の将来が決まるんや。
“おのれの失敗を棚に上げ、社員のリストラ"で責任転嫁する人間界の経営者”と一緒にすな!!これは守の恩寵や
その恩寵を愚か者の人間は直ぐ忘れ腐る。
あそこに並んでいる行列見てみい、みんな人間界へ落ちる魂や。というて簡単に人間界へ行けるわけやない。一番先頭の奴な、人間時間で三千年、待っとるんや、下天時間でも60時間や、あの魂、確か古代エジプトの王様やっとた奴や。
近頃、人間界も少子化でな、SEXCは好きやけど、子育ては厭や、ゆうて受胎しよらんから、魂の捌けが悪い。
え?人口は増えとるてか?
確かに地球全体では増えとるが、偏っとるØ。魂が喜んで行きたがる快適で安全、便利な地域では減っているんや。
え?贅沢云わすなてか?
その通りやけど、人間界で再修行†せないかんぐらいの性悪な魂やから、我が儘や、えり好みが激しい。
受胎したときを見計らって、魂がタイミング良く、飛び込むことになっているんやが、自分の番になっても、あれは厭や、これも厭いうて飛びこまん。
超快適、超安全、超便利、超収入の4超やないといやや、いうて、ど頭の悪いコギャルみたいなことぬかしおる。たく、何様や思うとるんや。
ぐずぐずしている内に流産や。
こんな奴ら餓鬼界õへ落としたろとおもうたがいったん審査が終わり、刑期が確定したもんは再度裁かれん“一事不再理”や。
といって、天界では強制は御法度や。地獄と違うからな。平和と自由気ままな世界や。
しかし、ほっとくと、魂は溜まる一方や、あっちこっちうろついて幽魂になり、退屈しのぎに悪さをしたり、TV番組の“世にも不思議な物語”に出たがる輩が増えて困る。
リストラすることにした。この戦略が「アダムとイヴ計画」Eや。
楽園追放、自由気ままな天にも掟Ñがあってな、魂がこれを破ると否応なしに、追放される。その掟とは“禁断の木の実”を食べることや。
え?禁断の木の実はリンゴか?てか?ここでは違う、桃や、缶詰やないで、生桃や。
天にも男?、女の魂が群とる。今までは男女魂は死して席を同じうせず。いう堅物の孔子守の強硬な主張で、別々の囲いの中で管理しとった。
しかし、人間ちゅう動物は助平やな、魂になっても、監視の目を盗んで、夜這いしよる。
そこで、仕切り/をはずして、男女混魂にした。喜んだ魂達は乱魂や、生桃を食いまくる。
あんまり食い気が激しいので、腹をこわして、腰を痛める奴がいる位や。
え?魂に腰なんかあるんか?てか?
魂、見て見い、尻尾[があるやろ、それがすり切れて薄くなるんや。
謹厳実直なソクラテス守が怒った。“道徳の頽廃きわまれり”いうてな
しかし、“妙適清淨句是菩薩の位、つまり、男女交合、SEXの心地よさは清らかな菩薩の境地やいうて、生桃を食べまくる。これも、天の法律書の一つ、理趣経の公認事項やから文句はいえん。
魂「守さんが色仕掛けしてどないしまんね。しかし、そんな策略やっているとは知らなんだ。それで解ったわ、近頃、人間界が殺伐Mとしているのは、その所為や、追放されてやけくそになった魂が荒ぶれているんや」
守「策略やて?守ぎきの悪いこと云うな!!これも方便や、迷える魂を救うための便宜上の手段や、お釈迦はんも認めていなはることや。
ええか、魂はいつまでもここにおれんのや、リミット60時間、これを超えると、リセットで抹消される。そうならんようにする守心や、天でええ目して、また人間界に戻れる。こんなええことあるかいや」
魂「抹消?それなんでんねん。魂権蹂躙や!!それに、魂は一種のエネルギーちゃいまんのんか?
そやったら、“エネルギー不変の法則”はどないなりまんねん。抹消なんか出来まへんやろ?」
守「理屈ぽい奴やな!!
そおか!おまえ人間界にいたとき、精神鑑定を金科玉条にして、加害者を助け、被害者を挫く、正義面した人権屋の“三百代言”を商売にしていたな。罪は重いで、覚悟しいや。
確かに“エネルギー不変の法則”は科学的真理やから、なくならん。抹消された魂のエネルギーは石êに閉じこめられる。つまり、永遠に石になるんや。踏まれても蹴られても、小便かけられても、沈黙の石や」
魂「へー!!石か!!それもよろしな!!“深海の貝になる”よりよろし」
守「??」
魂「“どうせなるなら、女風呂の敷石に、貝を舐めたり、眺めたり”いう、有り難い唄がおまっしゃないか」
守「救いがたいどアホ奴!!!」
魂「しかし、守さんの前やけど、死んだらこんな風になっているとは知りませんでした。
死んだらみんな物質元素が分解されて、宇宙のゴミùになるんや、思うてました。守さんなんか、本当に存在するなんて思わんかった。
なんせ、守さんを商売ネタにするインチキ宗教店がいっぱいやたからな。
こんなんやったら生前もっと守さんにお賽銭$上げとくんやった」
守「ますます度し難い奴や、守に賄賂Ï出しても効き目はあれへん。出そうが出そまいが、扱いは一緒や、
“守がいるか?どうか?”わからんかった?罰当たり奴!!お前“パスカルの賭”ちゅうのを知ってるか?」
魂「パスカルてなんでんね?賭やったら競輪b、競馬、から、オイチョカブ、チンチロリンまで幅広く親しみましたが、パスカルは知りまへん。
“バカラ”とちゃいまんのか?それはそうと、守さんはサイコロ賭博が苦手のようでんな?」
守「??」
魂「“守がサイコロを振ることはない”いうて、アインシュタインはんが、断言してはりましたがな、しかし、守さんの気まぐれな性格を知らんさかいそんな眠いこといわはんのや。守さんかて、退屈したら、息抜きにサイコロぐらい振りまっしゃろ?」
守「あほらしいて、話しする気にならんが、パスカルはな、フランスの哲学者Fや、“人間は考える葦だ”という健気な言葉をいった」
魂「へえー!!足が考えまんのか?こりゃ珍しい。そんな人間どこにいまんねん、お目にかかりたいわ、もっとも、足の裏は心臓Yに繋がっているいうて、健康法でマッサージするぐらいやから、直接脳にも繋がっていて考えるいうことも考えられるな」
守「寒い親父ギャグぬかすな。足やない植物の葦cや
無知蒙昧なお前に説明しても詮無いことやが、この意味はな
“葦は雁がとまっても折れるといわれているほど弱いものだ。
同じように、人間もちょっとした病気や災厄で死んでしまう弱い生物だが、考えるという強力な力を持っている葦だ”ということや。
お前なんかはおおよそ“考える”事なんか無縁な奴やから、葦以下やな。
パスカルは、 “あの世に、守がいるかどうか、賭けをするなら、いる方に賭けておいたほうが良い、なぜならば、もし、いない方に賭けていて、死んだとき、あの世に、守がいたら取り返しがつかん。
しかし、いる方に賭けておけば、いたら儲けもんやし、いなくても、別に損することはない。とにかく守を信じる方が得や、信ずるものは救われる”といったお人や」
魂「なるほど、これは理屈や、しかし、悪賢い人やな、この人やったら株取引の名人になりまっせ。リスクがないように安全株に繋いどる。
どちゃに転んでも損はせへん。それで、パスカルはん、なんぼ儲けはったんでっか?」
守「“バカは死ななきゃ治らない”というが、お前は死んでもバカのままやな
パスカルは今、審問に掛けられている。守を賭けの対象にした不敬罪適用を巡って論争中や、しかし、守を信じた方がいいという方便に使ったということは、情状酌量の余地はある。いいとこ人間界へ追放で済むんとちゃうか」
そや、おまえの、行く先を決めたで」
魂「え!!もうでっか!!殺生や!!わても、もう少し、女魂と楽しみたいわ、あの魂さっきからわてに色目をつこうてまっせ」
守「ん?あれか?小野小町の魂や、生前、男を振り続け、弄んだ罪で、今度は娼婦に落とされる。今から練習しとるんや、しかし、あれは双なりや、肝心の 娯楽室は持ってないで」
魂「なんでんえね?双なり、娯楽室て?」
守「そんなことどうでもよろし、お前、しょもない女魂に気とられてんと下見て見い」
魂「あれ!!!盛大にお祭り、やってまんな!!
そやけど、守さんは偉そうに澄ました顔して、いつもこんなポルノ覗いてまんのか、むっつりすけべとは守さんのことやな」
守「アホか!!人間送り込む魂のため、受胎の度合いを観察してるんや、それよりよく見てみい」
魂「あれ?あの女、娘や!!男は?あっ!!!あいつの上司や!!あいつ女房子供がありながらしつこく娘を追い回していたどすけべ男や!!なんちゅうやつや!!!」
守「あの女、今夜、妊娠する。お前はそこへ入るんや」
魂「守さんは外道か!!!そんなことしたら近親相姦やおまへんか!!」
守「お前、何考えトンのや、そんなこと関係ない。お前は魂や、入魂したら全ての前の記憶がなくなる」
魂「なんでわてが、娘の中に入らないけまへんね」
守「因果応報や、お前も人間の現役時代、部下のOLに手を付けて、妊娠させた。嫁ハンにバラスと脅されて、手切れ金がっぽり取られ、ようやく子供を堕して貰ったやないか。
かわいそうに水子になった子供は供養されんままに、未だに無明の冷たい闇の中を彷徨っている。その償いをするんや」
魂「なんで、償いになりまんねん?」
守「不倫で妊娠したお前の娘が、同じように堕したら、彷徨っているお前の水子は蘇り、代わってお前が希望も喜びもない無明の闇の中で、彷徨うのや、“彷徨える魂”や」
魂「それなら大丈夫や、娘は堕しまへん。けちや、小さいさいころから一端口に入ったものは絶対 打算主義や」
<ききみみずく>