待ちに待った大村湾1周ラン
福岡県津屋崎町 山下 夫 .
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私の準備は、佐藤さんからの第一便、2000年12月1日付けの案内を受けてから、始まりました。
昨年押しつけがましく、2位の方々に、色紙をあげたが、今年も又書くか、どうか、はたして喜んでもらえたのかな、まさか、バッグの中で二つ折りになったまま忘れ去られているのでは?。しかし私自身、書の練習をさせてもらっているのだ。皆さんの眼を通すのですから、言うなれば、独りでジョグしているより大会に参加した方が、種々、メリットがあるのと、似ています。
まず、今年のテーマを『道』と決め、二字書は縦に色紙を使い、一字書は横とする、次に散書の文面を練る。其の後失敗した色紙の裏面に、文字のバランス、一字一字の周囲への気配りとでも申しますか、墨を摺りながらイメージしたものを試筆します。何枚か書く間に、個々の文字の干渉具合が整って来ます。次にこの色紙全体から漂う、感情表現です。例えば、毛の硬い筆で、速度早く動かし、更に、女房殿と、いがみ合った後などに、筆を運びますと、効果覿面、荒んだ、今いち燻っている雰囲気となります。これでは、もらっていただいく方には、当然満足いただけません。かといって、礼儀正しいよそ行きの表情では、この大会のムードにマッチしません。勿論、書は書く人を表すと申します。私の技術と、人間的形勢過程に、大いに限界を感じます。その中で納得出来るものを一応の完成作品と見なします。
次に嫁に出すには衣装の問題もあります。今回は、丁度以前使用した額が有り、どちらがどの額に、すっきり収まるかのみの選択でした。はたして、飯田さん、辻本さんは、どうされているやら。
仲道さんの作品は、衣装がしっかり凝っていて、ご自分で紙を漉き、染色をし、模様のポジションを考えての額、はたして、どこまで鑑賞していただけるだろうか、の作品でした。
女房殿も前回同様。庭に黄色に色付いた夏みかんをちぎり、マーマレード作製。皮を薄くスライスし、3時間程水に晒し、その中に実の絞り汁を加え、煮つめて、砂糖を入れると再度煮つめ完成、これを高温熱湯消毒した瓶に満たして準備完了。
ランの方は一週間前より始め、靴のリペア、準備と当日の天候との兼ね合い等を考えながらリュックに詰め込み、バッグには、走後のケア用品、衣類を入れ完。さて出発2月10日6時50分。女房から、昼食のサンドウィッチ、スタート時のおにぎりまでせしめました。
途中、見野、仲道のご両人を道連れとし、順調に一路嬉野へ。10時前一番乗り。
荷を下ろし一息入れている所へ、酒井さん着。足湯が出来たからと、早速嬉野巡り。該博な知識人の見野さん、酒井さんの御案内、より具体的に、寺、神社への視点がズームアップされます。目的の足湯、文字通り温泉の中に素足を入れ周囲にある板に腰を降ろして、のんびり、しばし、裸の付き合いならぬ、素足の男女混浴。上がってからの、仲道さんの第一声、足が軽くなった、です。
早めの昼食を取っている間に佐藤さんご夫妻も見え、12時スタートの面々も揃って来ました。
6分遅れのゴー、皆さん背中が笑っているように楽しくスタート、見野さんの歴史探訪もこのグループの目玉です。
私は16時スタートにエントリー、しばし仮眠、持参の寝袋に入り1、2時間ウツラ、ウツラ、15時過ぎ辻本、星川、太田の各氏到着。夫々にワイワイガヤガヤ、いとも楽しげにスタート準備、あるいは160km走に堪えるべく、足其の他へのメンテナンスに工夫を凝らしています。羊羹、飴玉があっちの手こっちょ手と移動し、着衣はこれでいいか、リタイアした時には寒過ぎる、他はエイド車に預けよう、もう全く子供の頃の遠足準備そのままのの風景です。
ミーティング後、12時グループと同じように集合写真を撮り、16時7分スタート。
三三五五にグループが出来ますが私は単独行、右側通行にて坂道を上ります。ほとんどの町村で似た状況なのがこの歩道、街中はなんとか右に左に変わりながらも確保が出来ているのですが、郊外に出ると縁石ならぬ白線のみ、車が肩幅ギリギリに風を煽って通過して行きます。
東彼杵に入り、大村湾が見え隠れし始める頃、気温も下がりだし、着衣も追加、発汗は増えたのですが、旧平戸街道通過後胃が痛みだし、あっこれは保温出来ず汗が体温を奪ってしまっているのだな、元来寒さに弱い身体、己の不備を呪っても後の祭り、痛みの加速に合わせて?、進行スピードは、全く情けないことです。持参の痛み止めを服用しましたが効き目なし、膝を上げると刺すように痛みます。
川棚の駅付近の商店街で衣類追加を思い立ち、トレーナーを購入。大枚1,500円なり、しかじかでと包装を断り、身につけていると、それは身体が冷えたのだ貼るのをあげますと、奥へ声をかけ、何かなと一瞬とまどった私にインスタントカイロを渡してくれるのです。その上に貼りなさい、さらには1枚は予備で持って行って下さい、ふー地獄に仏とはこのことです。消費税をも免除です。頭を下げるのみ、何をかいわむです。
気をつけての声に店を出再スタート、が依然として変わらず、下腹の方迄痛み始め、トイレに行けばとも考えるのですが、先刻よりガスも出ず、モヨオシもありません。でも前に進むことが兎に角私のつとめ、くの字忍法よろしく路面しか眼に入りませなんだ、カイロが効いて来たかな少し楽になったぞの時点で温かいお茶を取りましたが駄目。一層悪く苦しくなりました。
ハウステンボス駅で丁度列車が入って来ました。あれには乗れないが、止めにするか、しかしローカル線だから後続列車には1時間はしっかり待たされるぞ、なら嫌だ、前進しかないな、レストランの明りの中の皆さんと己を対比させ、全くなにやっているやら、一層悲壮感が募ります。
針尾橋を渡り、エイドの方の手招きになんの関与も無し、停止すると痛みの軽くなることを知ったのみ。しかしここで大逆転への布石が行なわれました。コンビニには薬なしで、山本さんの奥さんが、御自分の処方された薬を出され、少しためらいながら、どうぞ朝昼晩だからと三服いただきました。どういう状態かも判然としない他人にあげもし悪い方向に作用してはとの懸念もあります。がこちらは藁をも縋る思い、一服飲み、少し車の中で休んではの声を断ち行けるところるで行きますから、もしもの時は拾って下さいと、又も手足の空しい運動開始。これが治ったのです。
まだハウステンボスの塔が見えます。満月は海に輝き、オリオンが少し右の空に傾き大きく空を占めています。今迄約4時間の超スローペースで疲れはゼロ。皆さんには何処まで追いつけるやら、しかしこのままではと、西海橋手前のコンビニに立寄り、お稲荷さんを購入、橋の袂のベンチで恐る恐るよく噛んでいただきました。橋を渡りながら、あの世の再会ならぬ、ゴールでの再会をと願い、潮の逆巻く中に月の光の荒々しい反射をながめ、飛び込み防止用バーを見、なるほどなあと妙に納得。
山本さんのエイドに再度お世話になり「よかったですね」「お蔭様で有難うございます」嬉しさが込み上げます。
時津の公民館前までは、気持ピッチを上げ、ハンドライトを揺すりながら歩を進めました。ホテル、信号2つ、公民館とのことですがこのホテルはラブホテルかなと少し余裕が出て来ます。ふいに声をかけられ、よく見ると酒井さん、少し引っ込んだ公民館の玄関へ案内され、佐藤さんの奥さんより、うどんをいただき身体と胃を温めながらおにぎりもいただきました。
先行された皆さんが何人か横になっておられました。なんとここで20時スタートの星川さんが追い付き、一緒にどうかの真夜中のお誘い、言語道断、新幹線と故障在来線では比較対象外、引っ込み線でリペアーし、やっと心身共に暖かくなった所、どうぞ勝手にお進み下さいと励ましのつもりで断りました。
今度は空腹を覚え始め、コンビニ毎に止まろう否先に行けの繰り返し、とうとう吉野屋着、あな嬉し、店内には太田さん達が見えました。そうそうそれ以前にやはり20時スタートの山本さんも背中のバッグをカチカチさせながら何処ともなく消え去ったのであります、ウファクション。ここで朝食、納豆定食380円也、飯を全部食べられず、ビニールの袋にいれ上から握りとし、リュックにいれ、次は朝の儀式は何処でとウロウロ、JRホテル内で快適なポジションを決め、出発進行。
坂を上り、トンネルを潜り、坂を降り、途中石田さんからの応援を受け、朝の日射しの中順調に足を運びます。この辺り椿の街路樹が有り、二羽のめじろが私と伴走する形で前の木、前の木へと飛び移り、しばらく別の世界を逍遥、日石側のエイドで諸岡さん方の歓待を受けます。この時点で16時ゴールの夢は消え、20時迄になんとか到着したいと願うのみ。
次のエイドでは自家製キウイをいただき、水を積み、島原方面へ誤らぬようにと、しっかり案内を受け先へ、とうとう再度大村湾の望める道を辿ることになりました。
大村市内から山口さん、酒井さん、石田さんの声が再三掛かるようになりました。今から考えてみるに、ラストランナーを拾おうか、拾われるかの境目だったのでしょう。でも腹は減るし松原のコンビニで稲荷を補給、ついに東彼杵の大村湾別れ着、お3人さんの拍手で迎えられ、餡餅と水分を取ります。ライトを準備し、リュックの赤ランプをも点灯、残り2時間あるからの励ましに送られ、ウレシーノを目指します。残り11km、小用のみの停止で、往路タイムとは4分遅れで完走が残り最後のカーブを曲がり切れず、一つ上の交差点に出てしまい、ご心配いただいている皆様の背中から、ただいま着きましたとゴール、落涙抑え難く、随喜感悦せりの気分。
エイドの皆さん本当にお世話になりました、ありがとうございました。突然女房殿を出して悪いのですが、今回もまた大きく、裏切る結果となりました、いやーなレースはミズものだよとかなんとか言う気分も、もはや有りません、フー夫ー婦、失礼申し上げました。
追記、コンビニ食料3,500円、トレーナー1,500円、食事、トイレタイムを含め、長崎まで10km、1時間44分ペース、長崎以降10km、1時間19分ペース、トータル27時間19分の所要タイムでした。
以上 .
福岡県津屋崎町 山下 夫 .