97さくら道270km
冷え込んでくるかと思ったが、雲が出てきたせいか短パンでも辛抱できる程度だった。
水野さん、浅井さんの3人連れで専ら歩く。
歩道のないトンネルは旧道を通り、1人になったり、2人になったり、離合集散を繰り
返しながら暗い夜道を急ぐ。
次第に明るくなってきた。前方に成田夫妻を発見したが、右の方に隠れてしまった。
その地点まで行くと、道路は直進と斜め右に分かれている。直進の筈だがと真っ直ぐ進
む。成田夫妻はどこに消えたのか見えないが、前方を別な人が歩いている。
「お〜い、こっちだよ」と声を掛けたら手を振って応えた。
追いついて来た浅井さんが
「下の道がコースだよ」と教えてくれた。毎年直進していたが、ここも間違っていたと
は・・・ 今回は、まったく地図を開いていない。
下の道と合流し道路はきつい登りになる。
追いついて来た成田夫妻は元気がいい。ご主人の腰に柔道着の帯を巻いて後ろに尻尾を
作り、それに奥さんが掴まっている。1人で登のも容易でない坂を、奥さんを引っ張って
登る様は、まさに蒸気機関車。陸蒸気走友会の名に相応しい馬力である。
あっという間に見えなくなってしまった。
カーブが重なっているところで、水野さんの仲間が待機していた。飲み物や、握り飯の
ご相伴に預かる。
水野さん、ここのエネルギー補給で元気付いて走りだした。
浅井さんと2人、ひたすら歩く。分水嶺までなんと遠かったことか。
1回目、2回目にここを通過したときの情景をあまり覚えていないのはどうしたことだ
ろう。
民宿が集まっている中を通り抜け、カーブが折り重なっている折立道を登りながらリタ
イアのことを考え始めていた。
向小駄良を出るときは、完走することに何の不安もなかったのに・・・
7時35分、やっと分水嶺に到着した。
成瀬さんのエイドがありウドンをサービスしていた。
うどんを御馳走になり、浅井さんにリタイアすることを告げる。
彼は「ここから、ずっと歩いても29日中には届きますよ。家内に絶対ゴールインする
からといっているので待っていてくれる」と何が何でも完走を目指して出発して行った。
休んでいる間に、全盲のランナー柳川さんと伴走者の津川さんが到着。
荷物運搬のバスが来るには時間があるので、歩けるだけ歩くことにして別れを告げる。
秋田さん、堀口さんがやってくるのが見えた。秋田さんまだ後ろにいたのか。
緩やかな下りを駆けることができない。ショックだった。去年、おとどしとこの下りに
なると元気に走りだしたのに、お得意の下りが駄目とは・・・
秋田さんたちが追いついて来た。
「行けるところまで行きます」と秋田さん。
「バスに乗ります」と堀口さん。
ここが運命の別れ道。秋田さんは49時間14分でゴールイン。見事である。
浅井さんは、12時58分に到着。何とか懇親会の終わりに間に合った。根性の男であ
る。